特別対談 『SEALDs』奥田愛基×前滋賀県知事 嘉田由紀子 「ここがおかしい、 安倍政権!」

待機児童から脱原発、メディア支配まで激論90分!
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 昨夏、安保法制に反対するデモ隊12万人が国会を包囲した。45年ぶりとなる大規模デモに、若者たちを多数動員したのが学生団体『SEALDs』だった。あれから半年――中心メンバーの奥田愛基(あき)氏(24)は現在、今夏の参院選での「野党統一候補の全勝」「投票率75%」を目標に活動している。
 そのお手本となるのが、’14年に選挙運動・政策立案・情報発信を三本柱とする政治組織「チームしが」を立ち上げた嘉田(かだ)由紀子前知事(65)だ。今回、初めて二人の対談が実現。初対面ながら、90分にわたって語り尽くした。

奥田愛基(以下、奥田)僕が生まれたのは’92年。「失われた10年」と言われる時代に育ちました。この国を変えねばならないが、何から変えたらいいのかわからない。そんなことを考えながら憲法や安保法制について訴えてきたのですが、昨年夏の安保反対デモを経て気がついたのは「政治とはもっともっと生活に根ざしているもの」だということです。「ただでさえたいへんな日々の暮らしを、これ以上悪くしたくない」という生活保守のような感覚がある気がします。

嘉田由紀子(以下、嘉田)国会で追及された待機児童問題は、まさに日常生活に直結した問題ですよね。キッカケとなった「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログの感覚、私はすごくわかります。40年前、私は学生結婚をして長男、ついで次男を身籠(みごも)ったのですが、子育てと仕事を両立させるには、保育園を探して、その近くに引っ越さざるを得なかった。ところが、留学先のアメリカでは、大学に保育園がある。大学のカウンセラーは「あなたは1日23時間、勉強しなさい。子どもは1時間の愛情で育ちます」と言う。フランスでは保育園がほぼ義務化されていて、1歳以上の子どもは社会が引き受ける。未就学児の養育・教育を母親一人に押しつけているのは、日本だけです。

奥田先日、『保育園義務教育化』(小学館)の著者の古市憲寿さんと対談したのですが、古市さんも「小学生に待機児童はいない。保育園も義務化すべきだ」とおっしゃっていました。

嘉田女性の就業率と出生率は、実は正の相関があります。フランスでもデンマークでもフィンランドでも、女性の就業率が高い国は出生率が高い。日本は逆です。

奥田「日本死ね」と書かれたブログについて民進党の山尾志桜里(しおり)議員が質問しましたが、安倍晋三首相は「誰が書いたかわからない」とまともに答えようとしませんでした。人口が減れば、経済に悪影響を与えるというのに……。供給は生産性を上げればカバーできるかもしれませんが、需要、つまり消費は人口減少の影響をモロに受けるのです。SEALDsの18歳や19歳の女の子たちは出産経験もないのに、子どもの話をします。女性のほうが子どもを産むこと――つまり未来の社会にリアリティを感じているのです。

嘉田安倍さんは株価を上げることが経済対策だと勘違いしています。株価を維持するために、年金財源まで注(つ)ぎ込んでいる。株価が上がってもヘッジファンドに持って行かれるだけで、ほとんどの国民は潤わない。逆に株価は暴落して巨額の損失が出てしまった。国家的犯罪ですよ。

奥田そもそも、株に注ぎ込むおカネがあるなら、保育園はいくらでも増やせるはずです。低所得者は、収入のほとんどを消費している。つまり、若者や、シングルマザーといった低所得者の収入が増えるよう投資したほうが、消費行動が増えて経済効果は高いはずです。

嘉田滋賀県知事時代、私は地元の自民党議員が進めていた新幹線の新駅建設やダム建設などムダな公共事業を見直して、3000億円の予算を捻出。子育て支援や教育予算にまわしました。いま、滋賀県の出生率は沖縄に次ぐ全国第2位です。

奥田地方都市に新幹線の駅を造ったところで、ストロー現象が起きて人口が流出してしまうだけです。

嘉田実際、地元の人たちと会って話を聞くと、「新駅もダムもいらない」「欲しいのは子どもと孫」と言う。民の声が政治に生かされていなかったのです。

奥田先日、嘉田さんは『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)で『もんじゅ』(高速増殖炉)は「架空の核燃料サイクル」だと批判されていました。「もんじゅを廃炉にしたら、保育園がいくつできるのか」と考えてしまいます。

嘉田参院選のキャッチフレーズにするといい。もんじゅは維持費だけで年間200億円かかります。その『朝まで生テレビ!』で行ったアンケート調査では「原発は必要ない」という声が72%を占めました。政府は民の声に耳を傾けるべきです。

奥田安倍政権のメディア支配を危惧する声を最近、よく聞きます。政権批判も辞さなかった『報道ステーション』(テレ朝系)の古舘伊知郎さん、『NEWS23』(TBS系)の岸井成格(しげただ)さんが相次いで降板しました。

嘉田NHK『クローズアップ現代』の国谷裕子(くにやひろこ)さんも交代になりました

奥田『クローズアップ現代』といえば、こんなことがありました。「SEALDsを取り上げたい」と番組スタッフさんに頼まれて9ヵ月ほど取材を受けたのですが、いつになってもオンエアされない。結局、「『クローズアップ現代』の最終回になんとかネジ込みます」とスタッフさんが頑張ってくれて僕のコメントが放送されたのですが、同時に「最終回じゃないとダメなぐらい厳しいのか」という気持ちにもなりました。メディアの現場の人たちではなく、もっと上のレベルの人たちが問題を見えづらくしている。

嘉田安倍政権は「あっちに批判する人がいれば潰(つぶ)し、こっちに批判する人がいても潰し、すべての権力を掌握しよう」という独裁者のような感覚です。’14年7月の滋賀県知事選で自民党は原発推進派の候補を立て、応援のために中央から閣僚ら議員を200人も送り込んできた。そこで私は「チームしが」を作って草の根選挙で対抗。自公推薦の元経産省キャリアを打ち破りました。’06年に知事に就任したときから、私は「小異を活(い)かして大同につく」を合い言葉にしていた。「命」と「未来」という大きな柱以外は譲ったので、私の選挙事務所には無党派の方も、共産党員も、バリバリの自民党員までいました。多様でした。

奥田面白いですね!

嘉田参院選に出てくれとお願いされているのですが、私は教育界にいて、若い世代を育てたいと思っています。奥田さんが「チーム日本」を作るなら、いろいろな形で協力します。

奥田これまで「学生は政治に無関心」と見られていましたが、デモをするのは当たり前になった。今年は選挙運動に参加するのが当たり前にしたいと思います。

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おくだ・あき/’92年福岡県生まれ。明治学院大在学中の’15年5月、「SEALDs」を結成。同12月、政策提言などを行うシンクタンク「ReDEMOS」を設立。代表理事に就任した
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かだ・ゆきこ/’50年埼玉県生まれ。農学博士。京都精華大教授などを経て’06年、滋賀県知事選に出馬。国内5人目の女性知事となる。’14 年10月からびわこ成蹊スポーツ大学学長
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