原発14基がひしめく「断層の巣」若狭湾に大地震の危機

運転開始から40年を超えた高浜1、2号機にも原子力規制委は合格のお墨付き
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同筒の2つの建物が規制委から合格と判断された高浜原発1、2号機。1号機は’74年11月、2号機は’75年11月に運転を開始
 熊本の余震は900を超えた。だが、危険なのは九州だけではない。4月20日に1、2号機が原子力規制委の安全審査に合格した高浜原発(福井県)のある若狭湾周辺も危ないのだ。
 元東京大地震研究所准教授で、建築研究所特別客員研究員の都司嘉宣(つじよしのぶ)氏が警鐘を鳴らす。
「京都から若狭湾に至る三方(みかた)・花折(はなおれ)断層帯は、巨大地震を起こしてきました。江戸初期の1662年には、阪神・淡路大震災よりも大きいマグニチュード(M)7.5の大きな揺れがあった。1948年には、東南海地震に誘発され3700人以上の死者を出した福井地震が発生しています」
 若狭湾周辺は、この他にも20近い活断層が集中する断層の巣だ。1586年の天正地震では、若狭湾に大津波が押し寄せたとの記録も残っている。文部科学省の地震調査研究推進本部によると、三方・花折断層では今後30年間で地盤が最大で5m隆起する、M7.3程度の大地震が起きる可能性が高いという。
 そんな超危険な地帯に、5つの原発、14基の原子炉が立ち並ぶ(地図参照)。全長100㎞ほどの海岸線に、これだけの原発が集中するのは世界でも類がない。若狭湾沿いの福井県小浜市の住民、北川昭二氏(72)が不安を漏らす。
「原発事故で放射能が拡散したら、逃げ場がなく被曝(ひばく)してしまいます。主な避難経路は国道27号線と舞鶴若狭自動車道ですが、すぐ渋滞が発生し避難できなくなるでしょう。冬場なら積雪で道が塞がれることもあり、完全にお手上げです」
 それなのに運転開始から40年以上がたつ高浜原発1、2号機は、再稼働しようとしている。原発の寿命は本来40年。元東芝の設計技師、後藤政志氏が古い原子炉のリスクを語る。
「30年以上たった原発には、経年劣化で弱くなっている部分が出てきます。圧力容器や格納容器のコンクリートに埋め込まれた基礎部分など、確かめることすらできないんです」
 だが、電力会社に危機感は感じられない。関西電力は高浜原発だけでなく、今年で40年を迎える美浜原発3号機の運転を、20年延長する申請を原子力規制委に出した。
「安全性を高めるために、格納容器の冷却システムも多重、多様化しています。40年を経過した高浜1、2号機は目視点検や非破壊検査をして格納容器や圧力容器に異常がないことを確認しています」(広報部)
 原子力規制委から敷地内に活断層があると指摘された、敦賀原発を持つ日本原子力発電も同様だ。
「われわれの調査で原子炉直下には活断層がないことがわかりました。地震が来ても建屋を支えられることも確認しています。津波は敷地前の最高水位が4.4mと想定し、標高7mの防潮堤を設置しました」(広報室)
 高浜以外にも安全審査中の美浜、大飯(おおい)、敦賀を加えれば若狭湾一帯で再稼働を予定する原発は8基となる。
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若狭湾周辺にある原子炉は敦賀1、2号機。もんじゅ。美浜1〜3号機。大飯1〜4号機。高浜1〜4号機の計14基。約890万人が住む大阪府や飲料水源の琵琶湖も近い
取材・文/桐島 瞬(ジャーナリスト)
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