新名神 1350tの橋桁が落下!「次に危ない」のはここだ

ベテラン作業員が減少し、
高速道路工事のリスクが増大
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橋桁が落下した現場。事故発生時は地鳴りのような音がしたという。死傷した10名は全員工事の関係者
 兵庫県神戸市北区の国道176号が有馬川と並行している区間は、一日約2万8000台の車が通過する。ひっきりなしに車が流れていた、4月22日の午後4時20分ごろのことだった。
「ガガガガガッ」
 頭上から長さ約120m、重さ約1350tの巨大な鋼鉄製の橋桁(はしげた)が国道に落下してきた。新名神高速道路の神戸JCT(ジャンクション)と高槻第一JCTをつなぐ延伸工事の一環で、有馬川と国道176号をまたぐ橋を架ける工事が行われていた。その橋桁が15m上から落ちてきたのだ。
 工事の作業員2名が死亡、8名が重軽傷を負った。落下した橋桁の撤去の見通しが立たないほどの規模の事故であり、もし帰宅ラッシュの時間と重なっていたら、さらなる大惨事になっていただろう。土木構造工学が専門の熊本大学名誉教授の﨑元達郎氏が話す。
「今回行われていたのは『送り出し工法』という、橋の下に川や道路があって支えを作れないときに採用されるもので、ごく一般的な工法。工事を担当した横河ブリッジは鋼鉄製の橋を作る技術に関しては日本でNo.1の企業です。事故の約20分前、橋の西側ではセッティングビーム(仮受けする桁)の据えつけが完了していたようです。こちら側の仮受け台(4基のジャッキを含む)に問題があれば、もっと早く落下していたはずです。なので、その後の東側の作業になにかバランスを崩す要因があった可能性が考えられますが、現時点ではハッキリしたことはわかりません」
 4月24日、兵庫県警は業務上過失致死傷の疑いで、横河ブリッジなど関係先を家宅捜索している。社会基盤構造学が専門の横浜国立大学上席特別教授の藤野陽三氏が話す。
「今回落下した橋桁の長さは120mでしたが、普通は30〜50m程度。100mを超えるような橋桁の工事は珍しく、それだけ難しさ、リスクがあるということです。それに、橋の建設数がピークを迎えた時期から10年以上が経ち、とび職などのベテラン現場作業員が少なくなってきています。本四架橋(瀬戸大橋などの本州と四国を結ぶ3本のルートの総称)などの大型工事が行われた時代に比べ、いまは工事量が少なくなりました。団塊世代のベテランが次々とリタイアする一方、若い作業員が育っていないのです。背後にはそうした構造的な問題もあると思います」
 現在、今回事故が起きた新名神の延伸工事だけでも、長さ約180mの安威川(あいがわ)橋など大型の橋桁が使用される現場は多数存在している。これらの場所で、明日、頭上から橋桁が落ちてきてもなんら不思議はないのだ。
PHOTO:小川内孝行
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