オバマ米大統領 「ヒロシマスピーチ」の真価

当初数分の予定が異例の17分間の演説に
Seventy-one years ago, on a bright, cloudless morning, death fell from the sky and the world was changed.
We can learn. We can choose.
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思わず感極まる、被爆者で歴史研究家の森重昭氏と、無言で抱き寄せるオバマ大統領。左は安倍晋三首相
「Seventy-one years ago,on a bright,cloudless morning,death fell from the sky and the world was changed.(71年前の明るく雲ひとつない澄みきった朝、空から死が降り、世界は変わった)」
 5月27日午後5時39分、日が傾き始めた原爆死没者慰霊碑の前で、バラク・オバマ米大統領(54)はそう語り始めた。
 午後5時、オバマ大統領は広島ヘリポートに降り立つと、全長約5.5m、重さ約8t、ドアの厚さは約20㎝という重装備の大統領専用車「キャデラック・ワン」で、平和記念公園に移動。広島平和記念資料館を視察し、慰霊碑に献花したあと、演説を行ったのだ。
「We can learn. We can choose.(私たちは学び、選択することができる)」
 核兵器、戦争のない世界を作るための不断の努力の重要性を、そう強調した。当初、声明は数分の予定だったが、実に17分間に及んだ。被爆者であり、式典に出席していた日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳(てるみ)事務局長(84)が話す。
「私はオバマ大統領の目の前で演説を聞いていました。急きょ前日に『被爆者の代表のひとりとして、出席してほしい』と外務省から広島市を通じて連絡があり、それで現地に向かったんです。大統領が広島に来て、まさにその場に立ったということはとても意義があることだと思います」
 スピーチを終えたオバマ大統領は出席した被爆者の代表らと握手を交わし、優しく肩を抱いた。共同通信社の調査で実に98%の人が今回の広島訪問を肯定的に評価するなど、「ヒロシマスピーチ」は絶賛を受けた。しかし、前出・田中氏はこう首を横に振る。
「演説の内容は高尚ですが、非常に抽象的で、被爆者に対する言葉はなにもありません。『空から死が降り、世界は変わった』という言い方ではなく、きちんと『アメリカが原爆を落とし、世界を変えた』と言うべきです。今回の演説で、被爆者に対してどう感じているのか、アメリカがこれから何をやらなければいけないのかを語るべきだったのではないでしょうか。そうすれば、今後の核兵器の廃絶に向けた大きなステップになったと思います」
 オバマ大統領が価値ある大きな足跡を残したのも事実。すべての人々の「選択」によって真価は決まる。
PHOTO:百石宏治(JMPA)
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