安倍官邸 7.10投票日後に来る「日本経済の崖」

日本が受ける英EU離脱の本当の衝撃は、参院選後にやってくる
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埼玉・大宮駅前の演説では、詰めかけた支持者の間を小走りで駆け抜けるなど、終始ハイテンションだった
「エッ!」
 イギリスのEU離脱が決まった6月24日昼すぎ。青森・八戸市から岩手・盛岡市へと向かう新幹線の車中で外務省からの一報を受けた安倍晋三首相(61)は、一瞬絶句したあと、
「まさか、そうなるとはね……」
 と小さく呟いた――。
 7月10日に参院選投開票を控えたいま、安倍政権に動揺が広がっている。イギリスの国民投票でEU離脱派が多数を占めた影響を受け、日経平均株価は下落、一時1㌦=99円台まで円高が進み、アベノミクスに暗雲が立ち込め始めた。
 安倍首相は早速、スイス出張中の黒田東彦(はるひこ)日銀総裁(71)に対応を指示。入院中だった林幹雄経産相(69)も慌てて登庁した。
 週明けの27日月曜はマーケットの開く前の朝8時から日銀・中曽宏副総裁と緊急会合を開き、「株価維持」をアピールした。麻生太郎財務相(75)も「95円で止まってくれればいいが」と心配そうに市況を見守っていた。
 安倍首相はその後、街頭演説に出たが、そこでも、
「雇用も110万人増え、有効求人倍率も24年ぶりの高い数字です」
「やるべきことはこの道を前に突き進むことです。アベノミクスのエンジンをフル回転させていこうじゃありませんか」
 と、今後の日本経済に不安がないことを盛んに訴えていた。
「’07年に参院選で惨敗し、45日後に退陣したことがいまもトラウマになっている。今度こそは――その執念が首相をつき動かしている」(全国紙政治部デスク)
 とはいえ、なりふり構わない「選挙目当て」の経済対策には批判もある。
「安倍内閣の閣僚は、景気を回復させるために『10兆円を超える規模の補正予算を投入する』『大規模な財政出動もありうる』と言っています。しかし、そのカネはいったいどこから持ってくるのか。公務員の人件費をこれ以上削るのは無理。防衛費、教育費を削っても、EU危機対策に使えるほどの規模のカネは出てきません。本当に10兆円を投入するつもりなら、赤字国債を発行するしかないんです」(社会保障経済研究所代表の石川和男氏)
高まる国債暴落リスク
 実は金融関係者の間では、すでに春先から「参院選後のマーケットは大変なことになる」とささやかれていた。
 安倍首相はこれまで、デフレ脱却を目指して大規模な財政出動を行い、連動して日銀も大幅な金融緩和を行ってきた。ただ、当初こそ景気は上向いたものの、徐々に足踏み状態に。起死回生の「マイナス金利政策」も、目標としていた物価上昇率2%にはほど遠く、消費税増税も延期したことで、財政の健全化は極めて厳しい状況に陥っている。
 そのタイミングで予想外のイギリスEU離脱が決まり、円高・株安への逆戻りは避けられない。
「アベノミクスはもはや、崖っぷちに立っている。すでに外国人投資家は経済政策の効果がないことを見抜いているため、円高・株安は止まらない。かといってアベノミクスを止めれば、待っているのはかつてのデフレです。ただ、もっとも危険なのはこのまま無策でいること。いますぐにアベノミクスの失敗を認め、赤字国債を発行してでも大規模な財政出動を実施しなければ、リーマン・ショック以上の危機が訪れるかもしれません」(クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏)
 アベノミクスの3年半で、日本経済は景気刺激策なしには立ち行かない「クスリ漬け」体質になった。だが、これ以上赤字国債を増発して国の借金が増えれば、国債暴落のリスクは極限まで高まる。
 進むも地獄、引くも地獄――。「日本経済の崖」が、目前まで迫っている。
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6月28日に始まったEU首脳会議。イギリスは今後2年かけて、離脱条件をつめていく
PHOTO:鬼怒川 毅(安倍首相) 時事通信社
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