【短期集中連載】ヤバい、ヤバすぎる!世界の危険地帯に潜入ッ! 第2回 フィリピンの銃密造村

【短期集中連載】ヤバい、ヤバすぎる!世界の危険地帯に潜入ッ! 第2回 フィリピンの銃密造村 画像1
銃の密造工房に案内してくれたチンピラ。工房に置いてあった銃を頭に当てておどける。かつては日本の暴力団も顧客だったという
 ガンマニアと身分を偽っていた私は、わざとらしく「エキサイティング!」とか「かっこいい!」と声を上げた。その様子を見たチンピラのひとりが一丁の銃をつかみ、嬉しそうに自分のこめかみに当てて言った。
「本物だぜ」
 フィリピンのセブ島と言えば、東南アジア随一のリゾート地だ。海沿いには高級ホテルが建ち並び、日本からも多くの観光客が訪れる。そのセブ島に、銃を密造している村がある、という情報を入手した。にわかには信じられなかったが、マニラでさらに情報収集していると、現地在住の日本人が、
「セブでは知られた話だ。工房のある村だとあちこちからカンカンという銃を作っている音が聞こえる。あれ(密造)は地元の産業なんだよ」
 と言うではないか。"銃密造村"は、セブ島の中東部「ダナオ」という地方の小さな漁村のことだとわかった。
 現地在住の日本人からダナオ出身のフィリピン人を紹介してもらい、さらにその友人、そのまた友人をという手法で、10人以上をたどった。さらに「日本から来たガンマニアがセブのガンスミス(職人)と話をしたがっている」ともっともらしい話を伝えてもらうことで、ようやくある工房の見学が許された。
 潜入許可をもらってきた冒頭のチンピラが車に乗せて連れて行ってくれるという。街から30分以上走っただろうか。「ここだ」と言われて車を降りると山の中腹に向けて一本道が通じている。歩いて行くと、小さな家が見えてきた。と同時に「カーン、カーン」と金属を叩くような音が聞こえてくる。音の発信源は家の横にある竹や木で作られた小さなハット(小屋)。それも軽く押せば壊れてしまうんじゃないかというぐらいのオンボロな造りだ。そこに小柄な50歳ぐらいの男がいた。
「日本人か?」と聞かれ「そうだ」と答えると握手を求めてきた。工房内には作りかけのハンドガンがいくつか置いてあった。男は工具を動かしながら銃の製造工程を説明してくれた。ひとつずつ手作業でパーツを組み上げていくのだという。
 彼らは約2週間で一丁の銃を仕上げる。種類によって値段はまちまちだが、5万円〜10万円とリーズナブルな価格設定になっている。
 どんな顧客がいるのかと聞くと、「昔は日本のヤクザがたくさん来ていたよ。でも最近は見なくなったな」と懐かしむように言った。では現在の顧客はどうなのかと聞くと、少し強張った顔をして「アブサヤフ」とフィリピン南部を拠点にするテロ組織の名を口にした。
 フィリピンでは、今年5月の大統領選挙で、ロドリゴ・ドゥテルテが当選した。ドゥテルテは、フィリピン南部のミンダナオ島で独裁市長として君臨してきた。自警団を組織して犯罪者を処刑・暗殺してきたことで知られている。武闘派の大統領がテロ組織とつながりのあるダナオの密造工房をこのまま放置するとは到底思えない。
【短期集中連載】ヤバい、ヤバすぎる!世界の危険地帯に潜入ッ! 第2回 フィリピンの銃密造村 画像2
工房の工具はどれも使い込まれており、職人の熟練ぶりを感じた
【短期集中連載】ヤバい、ヤバすぎる!世界の危険地帯に潜入ッ! 第2回 フィリピンの銃密造村 画像3
「MADE IN USA」とここで刻印しているんだ、と笑いながら話していた
【短期集中連載】ヤバい、ヤバすぎる!世界の危険地帯に潜入ッ! 第2回 フィリピンの銃密造村 画像4
ハンドガンは、本体だけではなくマガジン(弾倉)も製作する
写真・文/丸山ゴンザレス(危険地帯ジャーナリスト)

丸山ゴンザレス 世界の危険エリアを取材するジャーナリスト。TBS系『クレイジージャーニー』に出演。近著に『アジア罰当たり旅行(改訂版)』(彩図社)がある
あなたにオススメ

FRIDAY GOLD

10月18日発売
friday gold