スクープ!「脱原発を潰せ」 小泉元首相をカネの力で追い詰める"原発族"企業

スクープ!「脱原発を潰せ」 小泉元首相をカネの力で追い詰める
東京・日本橋にある三井本館。5階にCIPPSが入居する。同じ階に小泉氏、田中氏のオフィスもある
Photo:村上庄吾
「小泉劇場」は、ひとまず終わった。
脱原発を掲げて安倍政権に挑んだ都知事選で一敗地にまみれたが、小泉純一郎元首相(72)は、まったくメゲていない。
「小泉氏は、郵政民営化を20年以上にわたって主張しつづけ、ついに成し遂げた信念の人。脱原発も、これからが本番です。脱原発新党。脱原発議連。これからも戦いつづけますよ。誰も止められません」(全国紙政治部ベテランデスク)
しかし、それを苦々しい思いで見ている人々がいる。日本財界を代表する大企業、名門企業の経営幹部たちである。
「『小泉さんには困ったもんだ』というのが、財界首脳のホンネです。原発が停止していることで、エネルギー価格を押し上げて、産業界全体に悪影響がある。『脱原発が、日本経済の足を引っ張っているというのがなぜ分からないのか』と苛立っているのです」(経団連関係者)
政治評論家・浅川博忠氏も危惧する。
「昨年夏ごろ、ある財界の大物から、『小泉改革の負の部分に光が当たるようになってきて、小泉さんが顧問を務める国際公共政策研究センターへの寄付が集まりにくくなっている』と聞きました。
 その後、脱原発で余計に小泉さんを取り巻く環境は厳しさを増しています。慶應大出身の小泉さんは、東京大出身者が多い財界にあまりパイプがないことも災いしているのでしょうが……」
浅川氏が言うシンクタンク「国際公共政策研究センター」(CIPPS(シツプス))は、小泉氏のためにつくられたような組織である。
小泉氏が首相を退任した直後の'06年、元経団連会長で元トヨタ自動車会長の奥田碩氏(81)を中心に、トヨタ自動車、キヤノン、東京電力、新日本製鐵(当時)の4社の呼び掛けで発足した。
現在CIPPSに協賛企業として名を連ねるのは住友商事、商船三井、トヨタ自動車、昭和電工、日立製作所、IHI、東京電力などの13社。東電、日立はもちろん、昭和電工、IHIなど原発に関係の深い「原発族」の会社が名を連ねている。旧三井財閥の総本山・三井本館の5階に本部を構え、理事長は著名な経済評論家の田中直毅氏(68)。小泉氏は顧問として処遇されている。
エネルギー問題だけでなく、外交・国際問題、経済、農業、構造改革、防災など多岐にわたる社会問題の研究に当たっている。小泉氏も首相退任後は週に一度のペースでここに通い、総会、理事会などにも出席している。昨年8月、小泉氏がフィンランドの核燃料最終処分施設「オンカロ」の視察に行ったのも、CIPPSのバックアップによるものだった。
しかし、それがきっかけで小泉氏が猛烈な「脱原発主義者」に一変したことで〝原発族〟企業が急に態度を硬化させた。
「小泉氏が脱原発を言い始めたころから、空気が変わり始めた。まず、東京電力が〝撤退〟しました。CIPPSに出向させていた研究員を、年末で引き揚げさせた。そのほかの企業も、4月の新年度以降寄付金の減額を検討しています。ある企業の首脳は、『反原発のシンクタンクにカネを出しつづけているのは、(6月の)株主総会で説明できない』と漏らしています」(前出・経団連関係者)
昨年末には、こんな「事件」もあった。
12月中旬、CIPPSの忘年会に出席した小泉氏がこう挨拶したという。
「今年はいろいろ、(脱原発で)お騒がせしました! 来年はおとなしくしますので(笑)、みなさんどうぞご安心ください」
参加した財界各社は笑顔でこの話を聞いていたが、後日、小泉氏の発言内容は正確に経営幹部に報告された。
「今後、小泉氏が脱原発運動を抑制するという見通しが伝えられたのですが、ほどなく、細川護熙氏の都知事選出馬の応援に回った。これに財界各社が激怒したんです。ある会社の幹部は、『もうあんなシンクタンクは廃止してしまえ』と怒っていた」(前出・デスク)
寄付金減額について、協賛各社は本誌の取材に否定的な回答を寄せた。
「資金提供の有無及び減額もしくは予定、全てに関して個別具体的な回答は差し控えさせていただきます」(東京電力)
「今回は回答を控えさせていただきます」(住友商事)
「(寄付金)減額の予定・事実はございません」(IHI)
「寄付は行っていますが、個別の金額については回答を差し控えさせていただきます」(大和ハウス工業)
「減額の事実・予定はございません」(キヤノン)
しかし前出の経団連関係者はこう言う。
「今後、大企業が〝カネの力〟で小泉氏の『脱原発』に圧力をかけることは確実です。三井本館の本部も、撤収することになるかもしれない」
財界は脱原発勢力に対し、ジワジワ兵糧攻めを始めるが……。
「小泉さんは敵がいると燃える。今度は大企業を『抵抗勢力』として脱原発に突き進むと思います」(前出・浅川氏)

スクープ!「脱原発を潰せ」 小泉元首相をカネの力で追い詰める
都知事選後、「これからも『原発ゼロ』の国造りを目指して、微力ですが努力を続けてまいります」と表明
Photo:堀田 喬
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