新日本プロレス 内藤哲也 メキシコ修行で見つけた「新しいプロレス」

プロレス新時代
真夏の祭典『G1 CLIMAX』開戦!
いま再びブームがやってきた!
ベビーでもヒールでもない
「新たな男」が満員の大会場を熱くする
新日本プロレス 内藤哲也 メキシコ修行で見つけた「新しいプロレス」 画像1
7月18日に始まった『G1 CLIMAX 26』は両国国技館で行われる優勝決定戦(8月14日)まで続く。内藤はもちろん優勝候補の筆頭だ
「あの瞬間は、いまでも忘れられない。’97年6月5日、新日本プロレス日本武道館大会。僕は中学3年でした。大のプロレスファンだった父に連れられてそれまで何度も新日本の試合は観ていましたが、初めて自分の意思でチケットを買ったんです。何より鮮明に覚えているのは、武藤敬司選手の入場シーン。1万人を超える観客の視線がスポットライトを浴びた一人の男にクギづけになる。あの光景を目にしたとき、『僕も新日本のレスラーになる』と心に決めました」
 ライオンのタテガミのような髪型に大きな目玉をギラつかせ、プロレスラーの内藤哲也(34)は語る。
 いま、プロレスに再ブームが訪れているのをご存じだろうか。数ある団体の中でもぶっちぎりの人気を誇っている新日本プロレス(新日)のタイトルマッチともなれば、1万人以上のファンが会場に詰めかけ、リングは熱気に包まれる。さらに女優の二階堂ふみや元『AKB48』の倉持明日香など、ファンを公言するプロレス女子(プ女子)まで現れ、ちょっとした社会現象にまでなっている。その中心にいるのが、他でもない新日の新たなスター、内藤なのだ。
 ヒール(悪役)でもベビーフェイス(善玉)でもない。リングに立てばブーイングと歓声が同時に巻き起こる内藤の立ち位置は、独特そのもの。ここまでアンチと熱狂的なファンが混在しているプロレスラーは、他にいないだろう。「トランキーロ!(あせんなよ)」の決め台詞(ぜりふ)で知名度もうなぎ上りの内藤は、自身のプロレス人生をこう振り返る(以下「」内はすべて本人)。
「中高では野球とサッカーをしていたけど、心の中ではプロレスラーになることしか考えていなかった。高3の夏、サッカー部の最後の大会が終わったのを機に、アニマル浜口さんのジムに入門したんです。僕は足立区出身なんですが、ジムは台東区と近所にあったのも幸いでした。そこで5年間、スクワットに腕立て、寝技の基礎練習をみっちりやった。ジムでのトレーニングは、本当に厳しかったですよ。’05年に新日の入門テストを受験したときには、俺が受からなきゃ誰が受かるんだと思っていた。それくらい自信があったんです」
 内藤はその言葉通り、破竹の勢いで成長を遂げる。入団から半年という異例のスピードでデビューを飾り、’06年にはその年にもっとも活躍した若手に贈られる「ヤングライオンベストバウト」を受賞。試合を重ねるごとにファンは増え、周囲の期待も高まっていった。そのころは、内藤自身も「スターになるのも時間の問題」だと思っていたという。
 このままメインストリームに乗り、新日を代表する選手になる――。そう確信していた内藤だが、意外な宿敵の出現で彼のプロレス人生は暗転する。そのライバルとは、現IWGPヘビー級王座、オカダ・カズチカ(28)だ。
「オカダなんて、格下の後輩だとしか思っていなかった。でもアイツが’12年にアメリカ武者修行から帰国して、看板選手の棚橋弘至からIWGPのベルトを獲って以降、立場が逆転してしまった。後輩に追い抜かれたあせりで当時は何をやってもうまくいかなかった。人気はどんどん落ちていき、右ヒザ靱帯(じんたい)も断裂してしまう。絶望的な気分でしたよ」
 そんな内藤の大きな転機となったのは、昨年5月からの1ヵ月間にわたるメキシコ修行だった。彼はそこで〝制御不能な奴ら〟を意味するユニット、『ロス・インゴベルナブレス』と出会い、プロレス観がガラリと変わるほどのショックを受けたという。
「不調になってからの僕は、どうしたらお客さまが喜んでくれるか、自分がどう見られているかしか考えていなかった。ブーイングが怖くて、縮こまってしまっていたんです。そんなとき、『ロス・インゴベルナブレス』のメンバーが自分たちがやりたいプロレスをとことん追求している姿を見た。ブーイングを受けても気にしない彼らを見て、僕もそのスタイルに挑戦しようと思ったんです。そうしたら、想像以上にハマってしまって。あれほど憂鬱(ゆううつ)だった試合が楽しくて仕方なくなった。あんまり気がハヤって前に出ようとするから、試合中にチームメイトから『トランキーロ!(あせるな)』と言われるほどでした。それが僕の決め台詞になったんです」
 内藤はこのスタイルを日本に持ち帰り、『ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン』を結成。客に一切媚(こ)びず、何をしでかすかわからない彼のプロレスはファンを魅了し、人気は再び急上昇した。
 彼の次のターゲットは、7月18日からスタートした真夏の祭典『G1 CLIMAX 26』。約1ヵ月をかけて全国各地でヘビー級レスラーたちが頂点を争う、新日最大の大会だ。内藤は最後にこう締めくくる。
「こんなに面白い世界があるのに、知らないのは損している。僕を知ってしまったからには、あなたの目で、耳で、新日の世界を味わうべきだ。そこは『ノー・トランキーロ』。グズグズするな」
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片目を指で開くのが内藤の決めポーズ。「これはメキシコで目の細い日本人選手がバカにされるときに使われるジェスチャー。奴らを見返すため、それを逆手にとったんです」
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6月19日、大阪城ホールのタイトルマッチでオカダに敗れIWGPヘビー級王座から陥落した内藤。雪辱を果たせるか
PHOTO:小檜山毅彦
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