卓球銀メダル 水谷隼が本誌に告発していた「中国の不正ラバー」

メダル獲得の裏にあった「もう一つの闘い」
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水谷は中国・許キン(写真奥)を初めて倒した。「卓球は素晴らしいスポーツだと感じてもらえたと思う」と話した
 リオ五輪で劇的な団体銀、個人銅メダルを獲得し、日本卓球界の新時代を拓(ひら)いた水谷隼(27)。
 じつは激闘の裏で、もう一つの闘いを繰り広げていた。それが「補助剤」と呼ばれる液体をラケットのラバーに塗布した、「不正ラバー問題」である。
 ’08年にITTF(国際卓球連盟)によってラバーに接着剤や接着シート以外の付加的な処理をする「後加工」が禁じられたが、その後も球速やスピンを増すため液体の補助剤をラバーに塗布する不正行為が横行しているのだ。
 水谷は’13年2月、本誌のインタビューにこう語っていた。
「補助剤を塗ればラバーの反発力は増し、打球のスピードは段違いに速くなります。実際に打ってみると球が浮き上がるように感じられ、ラリーをしていると、どんどん加速していくような感覚です。補助剤を塗る行為は、確実に勝敗に影響します。ルール違反をしていない選手が、違反をしている選手に勝てないのはおかしいというのを訴えたい。一番の問題は、ITTFの会長が『違反をしている選手がいることは知っている』と発言したのに、それでも動きが一切ないこと。この先も何も変わらない可能性はすごく高いと思うんです」
 補助剤を塗布したラケットを使っている選手は、打球音や球速が違うため、観客には気付かれなくても対戦相手にはわかるという。特に問題視されていたのが、卓球王国・中国だ。
「もともと用具の技術開発が盛んな中国が、補助剤を使い始めたとも言われています。これは『後加工』になるため明らかなルール違反です。しかし検査方法もないため、ロンドン五輪でも日本人選手を除くかなりの選手が使用していたようです」(元日本代表卓球選手)
 今年2月、かつての世界ランク1位選手、ドイツのティモ・ボルも自国メディアにこう告発している。
「中国選手は不正な補助剤を使用しているから試合で有利になる。トップ選手の80%ほどは補助剤を使用している」
 水谷はロンドン五輪の後、本誌を含めた複数のメディアに問題を告発、自ら国際試合をボイコットして抗議の意を表していた。リオ五輪ではラバーの不正問題は改善されたのか。団体の試合後、水谷はこう明かした。
「補助剤は卓球からまったくなくなっていないし、ロンドンのときと何も変わっていなかったと思います。何を言っても変わる見込みがないということを受け入れて、技術と戦術、心技体を鍛えることにしたんです。五輪という最高の舞台、しかも団体決勝戦で中国人選手に勝てたということは、今後を考えるとメダル以上の価値があったと思います」
 水谷は団体決勝戦で中国「ビッグ4」の一角で世界ランク3位の許キン(キョキン)(26)を初めて破ってみせた。中国選手に勝ったことが、不正ラバー問題に対する水谷からの最高、最強の「回答」になった。
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’13年の本誌の取材で、補助剤を手にする水谷。横行する不正行為に、「ロンドンを最後に卓球を止めることも考えた」と明かした
PHOTO:JMPA 濱崎慎治(下の写真)
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