ソフトバンク退社アローラ元副社長に突きつけられた「調査要求書」全文入手

孫正義の後継者はなぜ切られたのか
ソフトバンク退社アローラ元副社長に突きつけられた「調査要求書」全文入手 画像1
ソフトバンクの講演会で抱き合う二人。アローラ氏は孫社長以外の日本人幹部とはうまくいっていなかった
〈書簡の日付(1月20日)から60日以内に調査を開始しなければ、日米で法的措置に訴えるとともに、規制当局への情報提供などあらゆる手段に訴える〉(以下、〈 〉内は「調査要求書」からの引用)
 東京・汐留にあるソフトバンクグループ本社に、今年1月下旬、ニューヨークの法律事務所から突如送りつけられた英文11枚の調査要求書には、激しい言葉が連ねられていた。
 6月21日、ソフトバンクは、孫正義社長(59)の後継者に指名されていたニケシュ・アローラ副社長(48)の退任を発表した。
 電撃退任の理由として、「あと10年社長をやりたくなった」とする孫社長に対し、アローラ氏が「そんなに待てない。ボクは別の道を探す」と応じたとして"円満離婚"をアピールしたが、実際には匿名の株主らによるこの調査要求書が要因のひとつとなった可能性が高い。
 告発を受けて社内に、「特別調査委員会」が設置され、社外取締役の柳井正(ただし)ファーストリテイリング社長らが疑惑を調査。6月20日に「シロ」の判定が出されたが、その翌日になぜかアローラ退任が発表された。
 本誌は問題の調査要求書の全文を入手。その驚くべき内容を紹介しよう。
 アローラ氏は’07年にハイテク銘柄に特化した米投資ファンド、シルバーレイクのシニアアドバイザーに就任し、’14年9月にソフトバンクに入社した後も同職を兼任していた。
 実はシルバーレイクは、ソフトバンクが大株主である中国ネット通販大手、アリババに投資していた。’15年1月下旬にアリババは業績悪化で株価が2割下落。調査要求書によると、その直前、〈シルバーレイクは保有していたアリババ株の45%を売り抜けた〉という。アローラ氏が事前に手に入れた情報に基づいて、〈インサイダー取引をしたのでは〉という疑惑を指摘しているのだ。
 またアローラ氏はソフトバンク入社直後の’14年10月、インドのネット通販大手、スナップディールへの投資を決定しているが、このとき同時に個人的に出資していた。さらに’15年夏、ソフトバンクやアリババなどから資金を集め、追加投資を決定。スナップディールの企業価値は2倍に跳ね上がった。〈企業価値が上がれば、アローラ氏個人の利益も増えただろう〉と要求書は推測する。
 ソフトバンク時代のアローラ氏の実績にも疑問符をつけている。ソフトバンクはアローラ氏の主導でインドの不動産検索サイト、ハウジングドットコム株を3億5000万㌦で転売しようとしたが、最良で1億7500万㌦の値段しかつかなかった。アローラ氏による投資は事前に十分な資産査定がなされず、〈ダーツを的に投げているのと変わらない〉という。
 加えて、調査要求書はアローラ氏の年俸が初年度で165億円と高すぎることについて、〈この年俸は世界で3番目に高い役員報酬で、ソフトバンクの配当総額の3分の1に相当する〉と批判している。
「匿名株主らがこうした行動に出たのは、アローラ氏が巨額の報酬に見合う働きをしていないという不満があったからでしょう。孫氏は『ガンホー』などの株式売却による1兆円の特別利益はアローラ氏が主導したと言っているが、誰でもできるレベルの案件です」(経営コンサルタントの加谷珪一氏)
 代理人弁護士は、メディアの取材に匿名株主らは「米国人ではない」と答えている。要求書に含まれた情報量の豊富さと確度から見て、ソフトバンクの現役幹部の関与さえ噂されている。
ソフトバンク退社アローラ元副社長に突きつけられた「調査要求書」全文入手 画像2
調査要求書はA411枚に英文でびっしり書き込まれ、アローラ氏が訴えられた訴訟についても触れていた
PHOTO:ロイター/アフロ
あなたにオススメ

FRIDAY GOLD

10月18日発売
friday gold