点滴大量殺人事件"呪われた4階"と「疑惑の看護師」

3ヵ月間で約50人もの
患者が亡くなっているのに、
斬り込めない
神奈川県警の怠慢
点滴大量殺人事件
大口病院の正面玄関前。7月以降、この4階では、一日に5名の患者が亡くなった日もあったという
「事件の報道を見て、犯人が内部の医師や看護師だったとしても無理はないと思いました。というのも、あの病院はまったく人手が足りていなくて、傍目で見ていても、働いている医師や看護師が非常に大きなストレスを受けているのがわかったからです。過度なストレスで、精神のバランスを崩してしまい、つい犯行に走る……そんなことが起きてもおかしくない病院だと思います」
 そう話すのは、横浜市にある『大口病院』の"呪われた4階"に、以前妻が入院していた80代の男性A氏だ。
 大口病院の4階に入院中だった2名の男性患者が点滴に界面活性剤を混入されて中毒死した。さらに、この4階は40床ほどにもかかわらず、7月からの約3ヵ月間で、約50名の患者が死亡しているという驚愕の事実が明らかになった。
 大口病院は終末期病院として知られ、行き場のない高齢患者を多く抱えていた。だが、病院自体の評判は決して良いとは言えなかった。前出・A氏が話す。

予防線を張る捜査幹部
「とにかく病院が汚いんです。使用した点滴やストレッチャーも出しっ放しで、病院全体が非常に雑多な印象でした。私の妻が病室で亡くなったときも、臨終の際には医師は立ち合っておらず、看護師だけ。亡くなって数十分経ってから、ようやく男性医師が病室にやってくる有り様です。しかも死亡診断書の妻の死亡時刻は、その到着した時刻を記入していたんです。なんといういい加減な病院なんだと思いましたよ」
 病院の警備体制や「点滴液に気泡が生じないように界面活性剤を混入するのには、注射器の取り扱いなど、医療の専門的な技術が必要」(全国紙記者)といった状況から、事件は早くから「内部犯行説」が有力視された。9月24日の会見で、高橋洋一院長も「(内部犯の可能性は)否定できない」と発言するほど。大口病院は病床数85という中規模病院で、2人が亡くなった夜の当直の看護師は、病院全体でわずか4名。医療従事者の数は決して多くはない。現在、捜査線上に浮上しているのは20代後半の看護師。独身の女性で、「奇妙な行動が多い」という証言が寄せられている。10月に入って病院を休職しており、県警が注目している"疑惑の看護師"である。
 しかし、10月5日現在、犯人は特定されていないのだ。元兵庫県警刑事の飛松五男氏は、県警の姿勢を疑問視する。
「通報がなかったからといって、県警に責任がないわけではありません。神奈川県警はなぜもっと早期に事件を感知できなかったのでしょうか。防犯を担う生活安全部のなかに医療関係の担当もいるはずですから、市や医師会と連携し、病院への巡回連絡などの情報もきちんと上がっていれば気づけたのではないか。これだけの人間が亡くなるという異常事態を察知できなかったのは、神奈川県警の怠慢としか言えません」(飛松氏)
 県警は、事件当日に勤務していたスタッフなどを中心に事情を聞き、捜査を進めているという。前出・記者が話す。
「9月末ごろからしきりに捜査幹部は『長期化する』と一様に話し始めた。もはや事件は迷宮入りするのではないかという話も出ている」
 初動捜査の遅れは、真相究明を遠ざける。怠慢のツケはもう取り戻せない。
点滴大量殺人事件
大口病院の高橋院長。「勤務している若い人の心情がよくわからないことがある」と意味深な発言を残した
PHOTO:蓮尾真司
あなたにオススメ

FRIDAYダイナマイト

5月2日発売
fridayダイナマイト

FRIDAY写真集

電子写真集