東大卒美人新入社員を自殺に追い込んだ「天下の電通」の異常

過大請求問題で揺れるネット広告担当部署で長時間労働の末
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過労死認定を受け開かれた記者会見で娘の無念を語る、高橋さんの母幸美さんと遺族代理人の川人博弁護士
「1日20時間とか会社にいるともはや何のために生きてるのか分からなくなって笑け〈ママ〉てくるな」
 高橋まつりさんは、ツイッターに悲痛な書き込みをした1週間後、’15年のクリスマスに世田谷区駒沢にある電通の社員寮から身を投げた。享年24。東京大学文学部を卒業後、’15年4月に電通に入社したばかりの新入社員だった。
 娘の自殺に納得できない母親は、巨大企業である電通の異常な勤務実態を労働基準監督署に訴えた。高橋さんの自殺から1年を待たず、彼女が過労死だったと労災認定がおりた。10月7日に母親の幸美さん(53)は会見に臨み、「労災認定されても娘は戻ってこない」と悔しさをにじませた。
 静岡県の私立高校から東大に現役合格した高橋さんは、マスコミに関心があった。週刊朝日編集部でアルバイトしたこともあり、当時の彼女を知る記者は、こう語るのだ。
「優秀な子でした。雑誌の動画共有サービスのアシスタントをしてもらっていましたが、度胸があるのに気も利いて、どんな職場でも活躍するだろうなと思っていました。出版社も希望とのことでしたが、電通から早い段階で内定が出たようです。『電通にいながら雑誌の仕事もできるから』と言っていたけど、現実は違ったみたいですね」
 ’15年4月の入社後、研修期間を経て彼女は6月にダイレクトマーケティング・ビジネス局に配属されている。
 電通は’13年に向こう5年間を見据えた中期経営計画を発表した。その大きな柱が「デジタル領域の進化と拡大」だ。
「その大号令の結果、関連会社も含め、優秀な人間がデジタル部門に集められたんです。新入社員でそこに呼ばれたということは、高橋さんはその能力を相当買われていたわけです」(元・電通社員)
 電通の育成制度は、9月末までは〝仮配属〟と呼ばれ、周囲からも様子見の扱いだ。しかし、10月以後〝本配属〟となると、超体育会系の世界が待っていた。高橋さんのツイートからも10月末ごろから追い込まれている様子が浮かび上がる。
「日曜の昼過ぎにお風呂はいって会社行って会社で寝るライフスタイルにはまりつつある…」(11月1日)、「土日も出勤しなければならないことがまた決定し、本気で死んでしまいたい」(11月5日)
 またセクハラ、パワハラを受けていたことを思わせるツイートもある。
「私の仕事や名前には価値がないのに、若い女の子だから手伝ってもらえた仕事。聞いてもらえた悩み。許してもらえたミス。程度の差はあれど、見返りを要求されるのは避けて通れないんだと知る」(12月14日)、「男性上司から女子力がないだのなんだのと言われるの、笑いを取るためのいじりだとしても我慢の限界である」(12月20日)
 そして、身も心も限界にきた彼女は命を絶ったのだ。
 電通に取材を申し込むと、
「社員が死亡したことについては厳粛に受け止めており、誠に残念です。引き続き、適正な勤務管理、長時間勤務抑制および社員の健康維持のための取り組みを強化してまいります」
 と回答。実は電通は’91年に、高橋さんと同じ24歳で首吊り自殺をした大嶋一郎さんの遺族と過労死認定を巡り最高裁まで争っている。’00年3月の最高裁判決は遺族側の勝訴。「安全配慮の義務が仕事量のしかるべき調整義務を含む」と、会社が職場環境を適正に管理すべきだということを明確に示した。しかし、16年たっても体質は同じということか。
 彼女が所属していた局は9月23日、ネット広告で2億円超もの過大請求をクライアントから指摘され、緊急の記者会見を開き謝罪したばかりだ。
 恒常的に人手不足となっており、その犠牲になったのが新入社員だった。電通に自浄能力はあるのだろうか。
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東大卒業式での高橋さん。中学生のとき、両親が離婚し、「早くお母さんに楽をさせたい」と語っていた
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奨学金で留学していた中国での一枚。「中国ではイケメンに出会いたい」と友人には冗談めかして語っていた
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