「迷走するNHK」間もなく改選 籾井会長は生き残れるのか

ワンセグでも受信料徴収と言ったかと思えば値下げ検討指示、放送センター建て替え計画もあって

「迷走するNHK」間もなく改選 籾井会長は生き残れるのか

今年4月には6人の理事を入れ替え周囲を驚かせた。「彼は言うことを聞く人物を近くに置きたい人」(NHK関係者)

「籾井会長の受信料値下げ提案が即座に否定されたのは、もうすぐ任期満了を迎える籾井会長が人気取りのために値下げを口走ったのが明らかだからです。任期は来年1月24日までなので、11月ごろには新しい会長が決まっていないとまずい。籾井氏にとっては、いまが正念場なんでしょう」(立教大学社会学部メディア社会学科の砂川浩慶教授)

 NHKの籾井勝人会長(73)は9月20日、理事ら幹部が出席する会議で突然、「来春から受信料の値下げが可能かどうか検討してほしい」と発言した。

 理事からは「準備期間が短すぎる」「収支の先行きが不透明」という反対意見が出たが、籾井氏は「来秋や再来年の春では可能かも考えてほしい」と強く求めた。

 籾井氏はこれまでにも「余裕があれば受信料を調整していかなければならない」と発言してきたが、今回初めて理事会で提案した背景には、砂川氏が指摘するように1月に迫った会長の任期満了があると見られている。

 籾井氏は受信料値下げをブチ上げる一方で、ワンセグ付き携帯電話の所有者に対しての受信料徴収を進めている。徴収に反発する朝霞市の大橋昌信市議がNHKを訴えた訴訟で、NHKは8月26日に敗訴(さいたま地裁)したが、籾井氏は「ただちに控訴する」と強気のコメントを発表した。

「背景には自民党の意向があります。昨年9月に出した報告書によれば、NHKに対して受信料の値下げと義務化、ネット放送の3つを進めるように要求しているんです」(前出・砂川氏)

 高市早苗総務相は9月27日、「(受信料制度を)納得感のあるものにするのが重要だ」と強調し、NHKに値下げを検討するよう促している。籾井氏の発言も「政権の意向に沿ったもの」(NHK関係者)という見方が強い。

 さらに籾井氏は昨年、放送センターの建て替え計画も発表した。’20年の東京五輪終了後、地上18階建ての「制作事務棟」など3つの巨大なビルを16年かけて建設するという。建設費は1700億円に上り、財源には積立金を充当する。積立金はすでに1600億円になっているが、放送機器などの更新を含めるとその2倍必要になると見られている。

「籾井氏は老朽化した放送センターの建て替えを発表することで職員の支持を得たいと考えたのでしょうが、同時に受信料値下げや支払い義務化という難題に取り組み、視聴者の合意をとりつけなければいけない。本当に籾井氏で大丈夫なのか、という不安の声が上がっているんです」(放送記者)

 NHKの経営を監督し、会長の選任にあたる経営委員会の石原進委員長は新聞のインタビューなどで3代続いて外部の財界人が会長に選出されていることに触れ、会長交代を示唆した。

 昨年まで経営委員を務めた早稲田大学法学部教授の上村達男氏は、「籾井会長以上の人物はいなかったと経営委員会が言うとしたら、それこそ経営委員会の存在意義自体が問われることになります」と籾井氏の適格性を疑問視する。

 ’14年の就任以来批判され続けた籾井氏は、念願の「生き残り」を果たせるのか。残り時間は、あと3ヵ月だ。

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NHKの社屋の多くは昭和40年代に竣工したもので、すでに半世紀が経過し、老朽化が進んでいる

PHOTO:鬼怒川 毅(籾井氏) 會田 園(NHK本社)



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