警察官の交通取り締まり「これがセコすぎる現場だ!」

事故を未然に防ぐのが本来の仕事じゃないですか。
物陰に隠れて待っているなんて…ドライバーの怒り爆発です
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建物に隠れて右折禁止地点を監視する白バイ。ドライバーからは完全な死角だ
 11月16日、さいたま地裁は道交法違反(速度超過)の罪に問われた男性(21)に対し無罪を言い渡した。この判決が画期的だったのは、これまで絶対の存在とされてきた速度測定器による取り締まりを「警察官の誤認や判断ミスなどが生じる危険性が否定できない」と断じた点。つまり交通取り締まりは、警察官の判断のみで違反が確定してしまう危うさが明確になったのだ。
 そもそも交通取り締まりは事故を未然に防ぐために行われるべきものだ。しかし、現実には取り締まり地点=反則切符の名所と言われているポイントが存在する。そこで本誌は都内の有名取り締まり地点で取材をしてみた。

物陰に隠れて見張る白バイ
 東京都中野区にある宮下交差点(図A)。山手通りと交差する大久保通りでは、右折禁止の標識があるにもかかわらず捕まる車があとを絶たない。なぜか? 上り車線は右折可能なのに下り車線は右折禁止のため対向車の流れにつられてうっかり右折してしまうのだ。しかも上の写真のように、白バイはドライバーからは死角になる位置で停車している(図A内の右上)。違反者を本当に無くしたいのであれば、交差点手前で指示をすればいいのではないだろうか。
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右折した車両を見つけると、白バイはサイレンを鳴らし、Uターン。すばやく停止させる

道路に飛び出て誘導する警察官
 板橋区の熊野町交差点(図B)。川越街道の信号が青になり、車が動き出したところで交差点の途中に立っていた警察官が道路に飛び出してきた。誘導され路肩に停車させられたドライバーは何がいけなかったのか怪訝(けげん)顔。違反理由は通行区分違反。交差点のだいぶ前から黄色線が引かれており、車線変更のタイミングがとても取りづらいのだ。しかし、白線から黄色線に変わるあたりで車線変更をした場合、交差点からでは現認は難しいと思うが……。何よりも、飛び出す警官に驚き急ブレーキを踏んで事故にならないかが心配だ。
 警察官の取り締まりについて交通ジャーナリストの今井亮一氏はこう言う。
「交通安全、事故防止のための取り締まりと警察官は言いますが、現場の警察官は件数の目標を自主的に立てているのです。告知票・免許証保管証(赤切符)何枚、交通反則告知書・免許証保管証(青切符)何枚といった設定なのでとにかく取りやすいところから取るのです」

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交差点途中の歩道にいる警察官は、違反車両を見つけると道路に飛び出し赤灯で誘導する
いつの間にか信号無視に
 東京・水道橋(図C)。白山方面に左折した車が、記者が見ている目の前で白バイに誘導され路肩に駐車した。切符にサインをし終えた違反車の運転手に、警官が離れたタイミングで何がおきたか尋ねてみた。
「停止線を越えたところで信号が黄色になったんでそのまま左折したんです。曲がるあたりで赤に変わったので、いったい何が違反だったのか……隣の車線なんか自分よりも後に交差点に入ったんですよ。なんか納得いかないなぁ」
 記者も見ていたが、ドライバーの言う通りの状況だった。そこで、青切符を切り終えたばかりの警官に話を聞いた。
――運転手さんは停止線を越えてから信号が黄色に変わったと言っていますが、なぜ取り締まったのでしょう。
「私は運転手さんが人を探してらっしゃると聞いて、信号見落としということで取り締まりをさせていただきました」
 運転手に目的地などを尋ねながら、状況確認をして警察側に都合のいい解釈をして証拠固めをしていたようだ。
――しかし、切符の記載では赤信号無視です。少し飛躍しすぎではありませんか?
「いえ、信号無視のこともお話ししました。先ほどの運転手さんは、停止線の15mくらい手前で黄色に変わったにもかかわらず交差点に進入したので」
 信号が黄色に変わった地点が両者でだいぶ食い違っている。しかも警察官の言い分は「私が見た」の一点張りだ。
 現場にいて我々はひとつ気になったことがあった。通行人が多く左折レーンがなかなか流れない状況のなか、我々が話すまさにその横では信号が黄色どころか赤信号でも強引に左折する車が続出していたのだ。
――これをなぜ取り締まらないのですか。先ほど切符を切った車は、静岡ナンバーで高齢運転者標識を付けていました。ようは道に慣れていない、あるいは老人など素直に指示に従いそうなドライバーを意図的に選んでいるようにも思うのですが。
「いいえ、そのようなことはありません。こちらはあくまで任務でやっています」
 こちらが話を続けようとすると、あっという間に白バイ3台、覆面車両1台がやってきて記者を取り囲んだ。そのうちの一人、上司と名乗る人物は、現場の状況を見ていないので自分は何とも言えないが、取り締まりの優先順位は危険性を考慮するという。
 前述の今井氏は言う。
「道路交通法施行令の第2条にあるように黄信号でも停止線で安全に止まれない場合は渡ってよいのです。黄信号で話を進めると、警察官としては停止線前での速度や停止線何m前で黄色に変わったか特定しないといけなくなる。そこで赤信号だったと言って切符を切る。これはお約束です。運転手が『黄色だった』と言っても『警察署に来てもらう』とか『車を押収する』などと脅すわけです」
 危険運転や深刻な事故を防止するため、ほとんどの警察官は真面目に公務に就いているのだろう。しかし警察官も人間、間違いや勘違いもあるはずだ。前述の白バイの上官はこうも言った。
「判断が各警官の主観に基づくのは事実です。なので、納得いかない場合は手続きをとるなど声をあげてもらいたいんです。そうでないと法令などは変わりませんから」
 事故を起こさぬように注意を払うのはもちろんだ。だが私たち市民が体のいい「搾取される者」になってはならないはずだ。
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左折車線はあっという間に赤色に変わる。事故を防ぐなら角の歩道にいるほうがいいと思うが
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誘導した車の運転手に話を聞く警察官。切符にサインをもらうと、止めてあった自転車でどこかに去っていった
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車から降りて抗議する運転手。白バイの警察官は穏やかな口調ながら自説は曲げなかった
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不服申し立てのために上京する時間がないということで運転手の男性は青切符にサインをしたという
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PHOTO:等々力純生
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