プロレス新時代 棚橋弘至「レスラーの人生に、ファンは共感してくれるんだ」

マット界低迷のどん底から這い上がった男
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’17年1月4日に行われる東京ドーム大会では、内藤哲也の持つIWGPインターコンチネンタル王座に挑戦
 端正な顔立ちに、ブ厚い鎧のような筋肉。ふとした瞬間に見せる不敵な笑みが、どこか底知れない印象を与える。彼の名は、棚橋弘至(40)。いまプロレス界で一番アツい男だ。
 ’99年のデビュー以降、IWGPヘビー級王座やG1 CLIMAX優勝など主要タイトルをことごとくかっさらってきた"新日本の顔"は、映画にドラマと幅広い活躍を見せている。
 そんな棚橋がプロレスにのめり込んだのは、高校2年生のころだったという。
「もともと僕は何にも興味を持てず、毎日ボンヤリ過ごすだけの少年でした。その僕が2つ下の弟とプロレス中継を観始めたのをキッカケに、どんどんハマっていきました。ビデオを繰り返し観たり、雑誌を読み込んだり。生きてるのがすごく楽しくなったんです。17年の間に溜(た)まっていた熱量が全部プロレスに向けられた。当時、僕のアイドルは武藤敬司さんと小橋建太さん。あの人たちは僕の想像や予測を軽く超えてきた。絶体絶命のピンチでもカウント2.9で立ち上がったり。『エッ、ここで返すの!?』って。プロレスラーのタフさに憧れたんです」
 高校ですっかりプロレスに魅せられた棚橋は、立命館大学の法学部に進学後も学生プロレスのサークル活動に明け暮れた。「いつかプロレスラーに」という夢を抱きながら学生生活を送るのだ。
「入学したてのころ、新入生が将来の夢を発表する場があったんです。みんな『目標は弁護士です』とかマジメなことを言うなか、僕だけ『プロレスラーになります!』って。一発カマしてやろうと思ったんですが、完全に裏目でしたね。それから誰も話しかけてきてくれませんでしたから(笑)。でも、学生プロレスは最高でした。僕のプロレスに対しての原風景には"喜び"とか"楽しみ"があります。いま振り返っても、幸せな時間でした」
 棚橋は立命館大を卒業後、憧れだった新日本プロレスに入門。後に看板選手として華やかな成績を残すことになるが、そのころのプロレス界は往年の熱気が失われ、どん底の時代に直面していた。
「当時は本当に苦しかったですよ。地方巡業をしても、ブームのころの盛り上がりからはほど遠かった。新日本も僕と中邑(なかむら)真輔でなんとかするしかないという時代が続きました。ならば、自分がプロレスを盛り上げるための礎(いしずえ)になろうと。そのためには、新日本を生まれ変わらせないといけなかったんです。とにかくわかりやすいプロレスを心がけ、会場でのチケットの売り方ひとつから、僕たちの仕事はお客さんに楽しんでもらうサービス業なんだという考えを徹底させました」
 地道な活動が花開き、いまや新日本は東京ドームを満員にさせるほどの大ブーム。当の棚橋は今年5月、後楽園ホールで左肩剥離骨折に見舞われ不本意な試合が続いたが、本人はどこ吹く風だ。
「巷(ちまた)では『もしかして、棚橋はもう終わった?』なんて言われてますが、ナニを言ってるんですか。僕にはこれからまたピークが来ますよ。プロレスは、波のあるレスラー人生をいかにお客さんに見せるかが大事なんです。低迷して、また復活して……その上がり下がりがドラマチックですから。だって、ずっと調子のいい人なんて応援したくないでしょう。どこかに弱さがあったりする、その人間味にファンは共感してくれるんです」
 そんな棚橋は、現在公開中の映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』に出演するなど、積極的にメディア露出している。そこには、彼の揺るぎないプロレス愛が隠されていた。
「キッカケはなんでもいいんです。映画でもドラマでも、まずは僕の存在を知ってもらう。そこからプロレスファンになってくれる人が出てくれば。100人のうち1人でもいい。1000人のうち1人でもいい。確率は高くなくても、絶対にゼロではない。だって、僕自身がその1人でしたから」
 今年不惑を迎えた"100年に一人の逸材"は、これからもプロレス道を突き進む
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肉体美もウリにしている棚橋は多忙の合間を縫ってはトレーニングに励む。東京・銀座のゴールドジムにて
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たなはし・ひろし
’76年11月13日生まれ。岐阜県大垣市出身。’99年のデビュー以来、ベビーフェイスの筆頭として新日本を支える。決めゼリフは「皆さん、愛してま〜す!」
PHOTO:小檜山毅彦
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