「地震の巣」の上 浜岡原発再稼働なら「国民の心から”希望”が消える」

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中部電力は昨秋、浜岡原発の周辺4市の9万戸超に安全対策を説明する冊子を配った。再稼働に向けて、動き始めている
Photo:結束武郎
「日本一危険な原発」に再び火が点(とも)されようとしている。静岡・浜岡原発は震災直後の2011年5月に政府の運転停止要請に従い停止したが、今年2月14日、中部電力が原子力規制委員会に「再稼働適合性審査」を申請した。
「浜岡原発は安全な原発になった」――中部電力の阪口正敏副社長は、適合性審査申請時に、こう宣言した。この地域では今後、30年以内に70%の確率でマグニチュード8~9クラスの南海トラフ地震が起こると予測されているが、中部電力は、地震に対する防御策を強化し、さらに大津波に耐えられる22mの防波堤を建設中だとして、備えに自信を見せているのだ。
 運転停止からわずか3年。はたして、本当に浜岡は「安全な原発になった」と言えるのだろうか。
活断層は確かに存在する
「浜岡原発には建設時から問題が指摘されていました。そして、その問題は3・11以降も残ったままです」
 こう指摘するのは、沼津工業高専の元特任教授・渡辺敦雄氏だ。渡辺氏は、東大卒業後に東芝に入社し、技術者として浜岡原発などの格納容器の設計に携わった。その渡辺氏が、こう話す。
「浜岡原発建設当時、万が一停電などで原子炉の冷却機能が失われたときや配管が破断したときのことを考え、非常用ディーゼル発電機をつけなければならない、緊急炉心冷却装置をつけなければならない、ということは分かっていた。ただ、配管も破断し、冷却装置も機能しなくなるという最悪の事態への対策は講じられなかった。ところが、浜岡原発とほぼ同じ構造の福島第一原発ではその最悪の事態が起こり、大事故につながったのです。
 しかし、あの惨劇を経験した今でも、二つの危機が起こった場合の対策はとられていない。個々の安全強化は図っても、大地震が起きて複合的な危機が起こることは想定されていない。つまり、浜岡周辺で巨大地震が起これば、福島と同じ大事故になる可能性があるのです」
 22mの防波堤についても、マグニチュード9を超える巨大地震が起これば、それを超える津波が発生する可能性がある。22mで本当にいいのか疑問が残る。
 そして、最も問題視すべきは、中部電力が「浜岡原発の施設内に活断層はない」という姿勢でいることだ。東洋大学で活断層の研究を行い、大飯原発周辺の活断層調査にも携わっている渡辺満久教授は、中部電力の甘い想定を一蹴する。
「浜岡周辺には御前崎の真下を通り、高知県の室戸岬に延びる巨大な活断層がある。この断層では、過去に相当な規模の地震が起こっている可能性が高い。今後、マグニチュード8以上の地震が起きると思います。この活断層の存在を、中部電力は否定している。その理由は分かりませんが、不可解な主張です。
 さらに、この活断層で地震が起きた時、地面が隆起して傾斜ができるところに浜岡原発は建っています。過去の地震の被害をみても、坂ができる場所にある建物は、特にダメージが大きいことが分かっている。浜岡原発は、建設時にそのことがまったく考慮されていませんでした。活断層が存在しないという考え方にも、地震に耐えられるという見方にも、私は否定的です。浜岡原発は絶対に動かすべきではない」
 予想される東海大地震に加え直下に巨大活断層があるわけだから、浜岡は「地震の巣」の上にあると言ってもいい。そして、ひとたび浜岡原発で事故が起これば、〝日本の大動脈〟が断たれることになる。
「浜岡原発の30㎞圏内には、東海道新幹線、東名・新東名高速道路、国道1号線などがある。ここで原発事故が起これば関西と関東が分断されてしまいます。原発事故が起こって30㎞圏内が立ち入り禁止になったときの被害額は低く見積もっても110兆円、という試算もあります。日本の終わりを意味するといっても過言ではないのです」(前出・設計士の渡辺氏)
 安倍政権は、浜岡原発の抱える危険から目を背けるように、原子力規制委員会の審査をクリアすれば再稼働を容認する姿勢だ。これについて、元新党さきがけの政調会長で、西武百貨店の社長を務めた水野誠一氏は「浜岡原発が再稼働すれば、多くの国民はこの国に失望するだろう」と指摘する。
 水野氏の父で元産経新聞社長の成夫氏は、旧・浜岡町の原発誘致に深く関わった人物である。水野氏は、息子としてその責任を感じたうえで、「旧世代が造った負の遺産と、いまこそ決別しなければならない」と訴える。
「浜岡原発が再稼働すれば、日本国内だけでなく、海外が日本を見る眼も変わるでしょう。福島第一原発事故は太平洋の汚染など、海外にも多大な影響を与えた。本来なら世界的な視点を持って再稼働の是非を判断しなければいけないのに、安倍政権にはその姿勢が見られない。このまま浜岡原発の再稼働を進めるのは、日本の恥と言ってもいい」
 原発やめますか。それとも、人間やめますか――。
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