建設中止を求め国に差し止め訴訟 函館市長怒りの激白「大間原発は世界一危ない!」

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大間原発の方角を指差す、工藤市長。'11年に無所属で出馬し、初当選した(函館市役所で撮影)
Photo:曽我部 司
「ご覧の通り、津軽海峡には遮蔽物(しゃへいぶつ)が何にもありません。よく晴れた日には、函館からも大間原発のブルーシートが見えるんですよ」
 津軽海峡を隔てた大間原発の方角を望みながら、語気強く語るのは函館市長の工藤壽樹(としき)氏(64)だ。2月12日、『電源開発(Jパワー)』(東京・中央区)が建設中の大間原子力発電所(青森県大間町)の建設差し止めを求め、同社と政府を提訴する意向を表明、その動向が注目されている。地方自治体が国を相手に〝原発訴訟〟を起こすのは前例がない。工藤市長は「大間は世界一危険」と断じる。
「Jパワーはウランとプルトニウムの混合燃料で運転する、世界初の『フルMOX原発』の完成を目指しています。フルMOXは、高出力が期待される反面、既存の原発と比べて高レベルの放射性廃棄物が発生し、制御も利きづらい。技術的に困難で危険性が高いため、アメリカやフランスはすでにこの分野から撤退しています」
 工藤市長は、大間が「テロに遭(あ)う危険性」にも言及する。
「津軽海峡は国際海峡です。通常の領海は領土から12海里に設定されていますが、国際海峡の場合、領土から3海里しか認められない。わずか5㎞の距離です。現状、津軽海峡の領海外には、国籍不明船も不審船も、自由に通っています。もし高速艇に乗ったテロリストが、猛スピードで大間原発を狙った場合、止める手段はないのです」
 函館市は大間原発から直近の場所で23㎞しか離れておらず、政府が指定する原発から30㎞圏内の『UPZ(緊急時防護措置準備区域)』に当たる。UPZに入る地方自治体には、事故発生時の避難計画の提出などが義務づけられている。
「国はUPZの中にある自治体に、一方的に『避難計画を作れ』と言うが、大間原発に関する説明会もなければ、建設再開に同意を求められたこともない。こんなバカげた話がありますか? 何も情報がもたらされないのに、どうやって計画を作れと言うのか。3・11から1年半しか経っていない'12年の9月、当時の民主党政権は大間原発の建設再開を認める考えを示しました。原子力規制委員会が新規制基準を作る前のことです。デタラメな原子力安全委員会(現在は廃止)が作った旧規制基準に基づいて建設が許可されたものを、なんの反省もなく建てさせ続けているんです。Jパワーは、建設再開の際、常務が挨拶に来ただけで、社長は顔も見せなかった。あげく『でき上がったら安全協定を結びましょう』だから、開いた口が塞(ふさ)がりません」
 門前払いか、画期的な判決か。工藤市長もハードルの高さは認識している。
「自治体は個人と違って、原告適格を得るのが難しい。憲法のどこから、個人に類する権利を持ってきて争うのかが課題です。でも、このまま手をこまねいてはいられない。原子力村の面々が『フクシマは失敗したけど、今度はうまくやろうな』とヒソヒソ話しているのが透(す)けて見える気がするんですよ」
 工藤市長が投じた一石は、どんな波紋を広げるのだろうか――。

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'12年10月に建設が再開された大間町の原発。国は過去10年で70億円近い交付金を投入してきた
Photo:橋本 昇
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