イスラム国、油井に連続放火の衝撃

日本人が知らない「モスル奪還軍事作戦」
撮影・文/横田 徹(報道カメラマン)
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カイヤラの原油は、イスラム国にとって大きな収入源だった。原油を売り、武器の調達に充てていた
「カイヤラには90ヵ所の油井があり、イスラム国はほぼすべてを破壊しました。炎が吹き上がり、油とガスの臭いが立ちこめる中、消火作業をしていますが、鎮火には1年以上かかるでしょう」(消火活動をする作業員)
 イラク北部の大油田地帯カイヤラは、イスラム国の拠点モスルから約60kmに位置する。’16年8月にイスラム国の支配から解放されたが、イスラム国は撤退時、油井に次々と放火したため、あたりは黒煙に覆われ、空も見えないほどだ。カイヤラに住む子どもたちは、
「夜になると咳がひどくて眠れない」
 と訴えている。今後、この地域の住民に深刻な健康被害が出ることが予想されている。
 モスル奪還作戦が始まって2ヵ月が過ぎた。イラク軍とシーア派民兵により市内東部の3分の1が解放されたが、イスラム国の激しい抵抗が続いている。
 私はモスル市内で取材を行ったが、最前線に近い野戦病院では、負傷した兵士や戦闘の巻き添えになった市民が次々と運ばれて来た。数ヵ月でモスルを完全に解放するというイラク軍に対し、地元ジャーナリストは悲観的だ。
「空爆がエスカレートして住民を巻き込み、モスルがシリアのアレッポのような破壊と殺戮の街になるのではないかと心配している」
 イスラム国は、マスタードガスなどの化学兵器を使い、自爆攻撃も行う。モスル中心部には複数の地下トンネルが掘られていると思われ、市街戦となると泥沼化の恐れもある。
 イスラム国に"人間の盾"として使われているモスル市民が、安心して生活できるまでにはまだ相当の時間がかかりそうだ。
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