トランプ次期大統領の標的になったトヨタが頼る「政権のキーマン」

恫喝には屈せずメキシコ工場建設は止めない!
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トヨタはアメリカに9つの工場を持つ。ケンタッキー州にある工場はなかでも最大規模で、7700名の従業員が働いている
「トヨタにとって’09〜’10年のリコール事件がトラウマになっているんです。豊田章男社長が公聴会に呼ばれ、全米の販売店主に涙を流して謝罪した。トラブル発生時に初動の対応を誤り、アメリカ社会を敵に回すと大変なことになることをこの時痛感したんです。だから今回は短期間に社長のスピーチ原稿を練り直し、火消しを試みた」(トヨタ関係者)
 ドナルド・トランプ次期大統領(70)はついに攻撃の矛先を日本企業に向けた。
 きっかけは1月5日、自動車業界の賀詞交歓会でトヨタの豊田章男社長(60)が記者団に「メキシコに建設予定の新工場の計画は変更しない」と見解を示したことだった。この発言が、トランプ氏の虎の尾を踏んでしまった。
 トランプは6日未明、ツイッターに、
「トヨタはメキシコにアメリカ向けカローラを造る工場を建てると発表した。とんでもない!」
 と投稿し、名指しの批判を開始。
 慌てたトヨタはわずか2日の間に、北米国際自動車ショーでの豊田社長のスピーチ原稿を大幅に修正した。当初の予定では新型カムリの紹介を中心にするはずだったが、「過去60年で米国に220億㌦を投資」してきたとコメントを追加した。メキシコでの新工場建設は撤回しない代わりに、今後5年で米国内で100億㌦(1兆1500億円)もの投資をすると約束。トランプ氏の任期4年間は大盤振る舞いをすると公約したのだ。
 トヨタのメキシコ戦略は日本メーカーの中では"周回遅れ"で、むしろ日産やホンダ、マツダのほうがメキシコでの生産体制整備は進んでいたが、狙われたのは知名度の高いトヨタだった。
 トヨタはかつて’93〜’95年の日米自動車協議の際にもやり玉に上げられたが、この時は政財界へのロビイングで危機を乗り越えた経緯がある。
「アメリカというのはロビイング活動で黒も白に変わるんです。過去のトヨタはその怖さを知っているのでアメリカでは優秀なロビイストを雇い入れて政治工作をやっていました」(自動車業界に詳しいジャーナリストの井上久男氏)
 公表されている資料によると、トヨタグループのロビイング活動費は’07年には590万㌦だったが’08年から減り始め、’12年には340万㌦まで下がっていた。
「11日に社長がマイク・ペンス次期副大統領と接触したが、今後は再びロビイング活動を活発化させていくと見られています。ターゲットとしてあがっているのが、新政権で商務長官に就任するウィルバー・ロス氏。知日派として知られる著名投資家です。かつてトランプの破産処理を手伝ったことがあるほど信頼が厚い」(米紙記者)
 ロス氏は「通商政策で重責を担う」と表明。政権のキーマンの一人となりそうだ。トヨタはどうアプローチするのか。
「ロス氏は日本企業に投資しているほか、アメリカ最大規模の日米交流団体『ジャパン・ソサエティー』の会長です。国内外のあらゆるチャンネルを探るでしょう」(前出・トヨタ関係者)
 中国・インドで苦戦を強いられているトヨタにとって、アメリカは最重要市場。ここでの"負け"は許されない。「いまは慌てふためいている」(元トヨタのロビイスト)というが、今後はなりふり構わず、シェア維持に全力をあげる。トヨタの命運を懸けた闘いが始まった――。
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’04年にはメキシコ・バハに工場を建てた。新工場は’19年に完成予定。画像はトヨタHPより
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政権のキーマンであるロス氏。企業再生で辣腕をふるい、’99年には旧幸福銀行を買収し再建した
PHOTO:ロイター/アフロ
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