シリーズ 有名人たちのもう一つの顔「私、マニアです」第31回 荻野アンナ(作家)

豚ッグズ集め
集め始めて40年以上、500点を収集
「この服は黒柳徹子さんからいただきました」
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「ステキでしょ〜、この豚柄の服。黒柳徹子さんにもらったんです。7年ほど前『徹子の部屋』に出演した時、黒柳さんがこの服を着ていたんですよ。『アナタ、豚のグッズを集めてらっしゃるんですってね』と言われ、番組終了後にわざわざスタッフの方が『黒柳さんからです』と楽屋まで持って来てくれたんです」
 作家で慶應大学文学部教授の荻野アンナ氏(60)の研究室は、ぬいぐるみやマグカップなど豚がデザインされたモノで溢れている。収集のキッカケは、40年ほど前に読んだフランスの小説だ。
「高校3年生の時に出会った、フランソワ・ラブレーの『第四之書パンタグリュエル物語』という作品でした。話の中で、守護神として一匹の豚が出てくるんです。耳は緑色で目は赤く翼を持ち、北極星から飛んでくる……。もう、どんな豚なのか想像が膨らんでしまって。以来、頭から離れず豚にまつわるグッズを集めるようになったんです。ただかわいいだけではダメ。ラブレーの小説に出てくるような、ちょっとした不気味さが必要なんです。豚の魅力は、好悪両方のイメージがあることです。ドイツでは幸運の象徴、イスラム圏では嫌われる対象ですよね」
 集めたグッズは500点にのぼる。中には東京芸術大学の彫刻家が作った10万円のオブジェや、京都の作家がリアルさを再現するために1ヵ月飼育してから制作した5万円のマネキンもある。
「朝のコーヒーは豚のマグカップ、夜のワインは豚のグラス、はいているのは豚の靴下です。貯金箱はもちろん豚型。集め始めると指導教員や友人などからもグッズをいただき、アッと言う間に増えてしまいました。自宅の客間にまで溢れ、亡くなった母親から『頼むから(グッズを)捨ててきてちょうだい!』と小言を言われたほどです」
 食べるほうも豚びいきだ。
「パリに豚足の美味しいレストランがあって、食器にまで豚のイラストが描いてある。フランスに行くたびに、そのレストランに足を運んでいます。昔、東大の学長が『太った豚になるより痩せたソクラテスになれ』と言っていましたが、私は豚のように貪欲に、なんでも吸収したいんです」

PROFILE
おぎの・あんな ’56年、神奈川県生まれ。
父は米国人、母は画家の江見絹子氏。慶應大学文学部卒業後、パリ第四大学に留学。’91年『背負い水』で芥川賞受賞。’01年『ホラ吹きアンリの冒険』で読売文学賞受賞。’05年には落語家の11代目金原亭馬生に弟子入りし、金原亭駒ん奈(二つ目)を襲名する
PHOTO:小松寛之
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