いざ! WBC 松田宣浩(福岡ソフトバンクホークス)「メジャー撃ちは任せろ!」

「前手ギュン打法」が進化した!

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お気に入りの「1ダホー!」ポーズ。ホークスの新スローガンだが、松田は「世界一になるって意味もある!」

 打席では相手のピッチャーの一番速い球を待っています。で、そのボールの5㎞増しのスピードを頭の中でイメージしてスイングするんです。みんな、僕のこの感覚を「わからん」って言うんですけど、140㎞の真っ直ぐを140㎞のイメージで打ちにいったらファウルになる。135㎞のイメージでスイングしたら、詰まる。だけど、145㎞のイメージなら、5㎞勝(まさ)っているから、絶対負けないでしょう? これだと相手がどんなに速いストレートを持っていても対応できるんです。日本ハムの大谷翔平君と対戦する時は、いつも170㎞の真っ直ぐをイメージしてます!

 第4回WBCの開幕まで、1ヵ月を切った。ほぼ、国内選抜のメンバーで臨む侍ジャパンに立ちはだかるのが、マリナーズのエース、ヘルナンデス(ベネズエラ)やジャイアンツのエース、クエト(ドミニカ)らメジャーリーガーたちだ。前回大会で日本打線が150㎞超の剛速球や、メジャー独特の動くボールを打ちあぐねるなか、打率.333、1本塁打、5打点と気を吐いたのが松田宣浩(33)だ。パ・リーグにおいても外国人投手を苦にしない松田にその理由を問うたところ、返ってきたのが冒頭の言葉だった。

 外国人投手はボールを動かすから厄介だというけど、ストライクゾーンの中に入ってくる限り、対応できる。彼らはコーナーにはあまり投げてこない。真ん中あたりで動かすから、タイミングさえ合えばなんとかなるんですよ。僕はホームベースの真ん中からボール3つ分くらいの幅の縦のラインを引いて、「基本」と呼んでいます。「基本」ゾーンから外れたボールは見送り、入ってきたボールにだけ対応していく。変化球が「基本」ゾーンに入ってきたら、下半身で粘って、スイングを遅らせて当てにいきます。「一番速いボールを待ってる」から可能になるんです。140㎞を待っていて120㎞のスライダーが来ても、20㎞遅いから間に合うわけです。20㎞って、けっこうありますよ。ハーフマラソンですよ?(笑)

 国際大会で当たるピッチャーとは、今後対戦することはないかもしれない。そう思うと、ネクストバッターズサークルでのイメージトレーニングにも熱が入ります。「真っ直ぐの速さはこんくらいかな」「軌道はこんな感じやな」と。

 バッティングは奥が深い、正解はないと言われるが、松田の打撃論はシンプルで迷いがない。ここまでハッキリ言い切れるのも、昨季の失敗があったから。松田はそう振り返る。

 自己最高の35発打った’15年は3試合連続ホームランだとか、何試合連続ヒットだとか、何試合連続マルチヒットだとか、「爆発」する時期が何度もあった。僕は「熱男(あつお)」なんで、爆発すると、かなりの確率で続くんですよ。熱くてなかなか冷めないから。ところが、昨年に関しては、「いつ爆発がくるんや?」「こんな、こんな――」と思っているうちにシーズンが終わってしまった。

 どうして爆発できなかったのか?

 このオフ、いろいろ考えたんですけど、昨季は相手のボール、相手ピッチャーと勝負する前に、自分のフォームと勝負していた。前のシーズンにいい結果が出て、いろいろ考えすぎるようになってしまった。グリップの位置がどうだとか。

 僕の持ち味って、元気でガッツ溢(あふ)れるプレーだった。相手のピッチャーの球に食らいついていくスタンスで、ボールを飛ばす。スタンドまで運ぶ。チームの負けが込み、焦(あせ)る中で、自分の持ち味を見失っていたんです。

 一方で変わらないものもあった。ミートポイントを投手寄りに置いて、ボールを身体の前方でとらえてギュンと押し込む「前手(まえて)ギュン打法」だ。

 健在ですよ。それどころか、進化していますよ! バットを持つ時、普通は両手を上下にくっつけてグリップを握るんですが、ちょっと間を空けて握ることにしたんです。両手を離してスイングすると、イヤでもヘッドが立つようになる。ヘッドが寝るとアッパースイングになって、空振りや打ち損じの原因になるんですが、これが解消されたことでミスショットが減り、「前手」はさらに強くなったんです。ヤバいですよ。WBCでクローズアップされるぐらい、思い切りいったろうと思ってます。

 僕は今年プロ12年目、34歳になります。だから日本で一番、元気を出したろうと思ってます。プレーするのに必死な若手ではなく、余裕のあるベテランこそ、チームのために元気を出すべきなんです。僕はベンチでアホみたいに、声を出しています。打席に立った選手の名前を大声で連呼する。傍(はた)から見たら「何コイツ叫んでんねん」という感じでしょう。でもね、心から声を張り上げているうちに、周りもだんだんオモロくなる。アツくなってくる。’15年の『プレミア12』の時なんて、中田翔や(坂本)勇人まで僕にツラれて「日本は強い!」って叫んでいましたからね。「そんなの意味ない」と思われるかもしれない。ところが、実際に声が一歩足を前に出してくれるんです。気持ちが強いだけじゃ、足って止まるんです。

 前回大会ではホームランを打てたし、打点もあげられて、それなりに自信がつきました。でも、国際大会ってやっぱり、「どこで打つか」やと思うんですよ。ポテンヒットでもいいから、ここぞという場面で打ちたい。去年まで僕は「熱男」やったんですけど、今年はレベルを上げて「スーパー熱男」になります。『ドラゴンボール』のスーパーサイヤ人みたいに、黄色に光るくらいアツくなって、メジャーを必ず仕留めますよ!

「前手ギュン」じゃないと打てないんです!

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実演しながら旧バージョンの弱点を解説。「ヘッドが下から出てくることがあったんです!」

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同じ右打ちでサード。今季から栄光の背番号3を背負ってプレーする。「燃えまくります!」

PHOTO:村上庄吾



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