「個人実績等評価表」をスクープ入手 これが警察官による「点数稼ぎ」の呆れた実態だ

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大阪市内の「アメリカ村」付近で職質をする大阪府警の警官。トランク内まで調べられ、男性は解放された
 今年2月2日、京都府警亀岡署地域課の警官2名が、一方通行道路の取り締まりで違反者の逆走距離を実際より長く記載したとして、「虚偽有印公文書作成・同行使」の疑いで書類送検された。実際の走行距離は10mだったが、警察官はこれを50mと記載していたのである。彼らがこんなことをした理由は単純だ、と語るのはある県警のベテラン地域課員だ。
「逆走距離が10mだと違反にならず、切符が切れないからですよ。切符を切って初めて、警察官は『評価点』をもらえる。ここまで露骨な事例は少ないですが、いまも昔も、自分の評価を上げるための『点数稼ぎ』は日常茶飯事なんです」
 しつこい職務質問や物陰に隠れての交通違反の切符切り。なぜ警察は、こうした軽微な犯罪の取り締まりに躍起になるのか――。誰しもが一度は、こういった疑問を抱いたことがあるだろう。
 本誌は今回、その謎を解き明かす警察の極秘資料を入手。下の『個人実績等評価表』がそれだ。この評価表は、大阪府警の全所轄署の地域課で実際に用いられているものである。
「府下の地域課員は約6000人いますが、この評価表にある獲得点数が人事評価の参考とされるため、皆、必死に点数稼ぎをしています。各警官の得点は毎月末に署内に張り出され、所轄ごとに署長が出席して開かれる『勤務評定会議』で獲得点を参考にA〜Eにランク分けされる。Aランクの者は、昇任試験で『ゲタ(点数付与)』の特典があるとされています。一方、Eランクが続くと、『要指導職員』として本部警務課に毎月のレポート提出が義務づけられる。部下にEランクがいると上司の査定にも響くため、イジメの対象になることもあります」(大阪府警の現役警官)
 評価表のなかで最も配点が高いのは、『死亡ひき逃げ検挙』の100点。しかしこういった重大事件は、「宝くじに当たるより確率が低い」(前出・現役警官)ため、地域課の警官たちは点数が稼ぎやすい項目に殺到するという。
「手っ取り早いのが、『巡回連絡』。犯罪の抑止や災害防止などを目的に、個人宅や事業所などを訪問する地域課員の主業務の一つです。一番効率が良いのは、『コミュニティ・リーダー宅訪問』。町内会長だけでなく、当番で地区の見回りをしている人なども入れれば、一つの町内で『リーダー』は10人以上になる。一人につき1点ですが、バカになりません。毎日のように、『リーダー』の家でお茶を飲んでいる者もいますよ」(同前)
 一方、点数がなかなか稼げなかった者は、『自転車泥棒』の取り締まりで一発逆転を狙うケースが多いようだ。
「まず、『自転車占有離脱物横領罪』で30点。走っている自転車を止めて職質して検挙すれば、『無から有の職質検挙』として50点も上乗せされます。常習犯とわかれば場合によっては身柄も拘束する。そうなればさらに20点の追加。一気に100点獲得です。月の獲得点数の平均は100点前後ですから、一件捕まえられれば『ノルマ』はクリアできるわけです。何日も連続して取り締まりをすれば、同じ人を呼び止めたりすることもしばしば。『いい加減にしろ』と怒鳴られたりもするんですが、正直言って、いちいち相手の顔を覚えている余裕なんてありません」(別の大阪府警地域課員)
 その他にも、自分が見つけた「ポイント」に隠れ、『一時不停止』の切符を切ること(1点)を生業(なりわい)としている者。一件につき5点という得点を狙って、やたらと事件現場に現れて指紋採取をしまくり、鑑識課員の邪魔をする者など、警察官たちの点数稼ぎの仕方はさまざまだ。
 地域課員の本来の目的は、約1割という低い数字にとどまっている路上強盗や車上狙いといった街頭犯罪の検挙率アップ。だが、この評価表があることで、それが阻害されているという。元兵庫県警刑事の飛松五男氏が語る。
「刑法犯の検挙には、地道な捜査活動が不可欠。しかし点数至上主義の現状では、誰もそんなことはしない。評価表に基づいた人事考課が、検挙率低下の大きな要因になっていることは間違いありません。
 また、これは地域課だけでは済まされない問題です。というのも、キャリアであれノンキャリアであれ、ほとんどの警官は地域課の『お巡りさん』として、警察人生をスタートさせますからね。つまり、警察全体に『点数』で人を評価する文化が蔓延(まんえん)しているんです」
「点数稼ぎ」のために取り締まられる我々市民は、たまったものではない。
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以前は基礎評定の点が低かったため警官たちは巡回連絡すらあまり行かず、仕方なく配点を増やしたという経緯がある
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点数を稼ぐために、交通課の「ねずみ取り」に同行させてもらう地域課の警官も少なくないという
PHOTO:朝井 豊(1枚目)
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